メトロ2033のクリアから2年以上経ってしまいましたが、ようやく続編である「メトロラストライト」のリダックス版を遊ぶ決心をしました。
核戦争で滅んだ世界で、モスクワのメトロ構内に逃げ込んだ人々がそのまま駅を住処として生き延びたポストアポカリプスを舞台とするメトロシリーズは、その秀逸な世界観と、世界観に入り込める没入感を持つゲームデザインが病みつきになる作品です。
どの作品でもEDが複数に分岐するのですが、このラストライトは前作2033のバッドエンド(というか小説版通り)のダークワン殲滅から1年後から始まります。
メトロ内に広まる新たな噂と脅威が新たな引き金に
前作ではダークワンという驚異から人間が生き延びる為、彼らをミサイル基地D6から文明の火で消し去りましたが、主人公アルチョムはその功績でポリス駅の警備隊「レンジャー」に就職、ミラーが率いる精鋭の「オーダー」に身を置き、現在は整備されたD6に配属しているようです。それから1年後、ダークワンの生き残りが見つかったということで、カーンがアルチョムの元を訪ねてきた所からラストライトの物語は始まります。
冒頭から敵のいない、居住空間兼前線基地と化したD6を歩けますが、前作に続きこの地下に順応した人々の生活感溢れる雰囲気が相変わらずたまりません。
また最近の情勢等もオーダーの会話から聞けるのですが、ファシストがどうやらこのD6基地の存在と、大量の備蓄があったことを知り、D6へ侵攻を仕掛けようとしているという話や、レニンスキーというオーダーのメンバーが数日前から行方が知れなくなっていることなどが聞けます。
前作でグッドエンドにアルチョムを導いた男だけあって、カーンはダークワンとの交信を絶やしてはならないと今でも考えているようですが、あの脅威を知っている人々にとっては野放しになっている生き残りなど危険極まりなく、アルチョムはミラーからダークワンの排除を命じられます。
というわけでお供兼見張り?としてついてくるのが、ミラーの娘であるアンナ。うん、良い声していますね。なんかやたらとこの英雄アルチョム様を煽ってくるのでビキビキ来そうですが、これが続編のエクソダスではラブラブになってるんだから本作での過程が気になるってなもんですよ。
つうことで、本作ではまずいきなり地表に出ちゃいます。あぁー、この破壊されつくしたけど美しさも感じる死の世界と化したモスクワの雰囲気たまんねぇ~
そしてアルチョムは生き残りのダークワンを追い詰めた・・・のですが、それは何と子どものダークワン。しかも彼ともどもアルチョムはD6周辺を偵察していたファシストの部隊に捕らえられ、アンナとも散り散りになってしまいます。
敵の敵は相棒・・・?
ファシストに捕まったアルチョムですが、どういうわけかファシストと敵対関係にある共産主義者のパヴェルという男も捕まっていました。尋問を受ける中、咄嗟に彼と連携して切り抜けたアルチョムは、そのままなし崩し的に彼と協力し、ファシストの強制収容所からの脱出を目指します。
ちなみにここには彼ら以外にもファシストに捕まった人が大勢いるのですが、終盤に扉を解放して彼らを助けることも出来ます。本作でもこういった人としての生き方に背かない選択をすることが、グッドエンドの条件になっているそうです。
あと、一部の敵は戦意を喪失して降伏し、襲って来なくなります。こういう奴も命を取っちゃうと駄目。無駄な殺生はしないこと。
そのままパヴェルとは一蓮托生の間柄となり、アルチョムは再度捕まった彼を処刑寸前の所で助ける等、お互いに助け合いながらパヴェルが伝手でポリス駅へ送ってくれるというシアター駅を目指していきます。アルチョムはダークワン捕獲の失敗とファシストの本格的なD6への侵攻を一刻も早く伝えなければならないからですね。
尚、ミュータントの巣へも追い込まれますがよりによってクモ型ミュータント。周囲の糸とか蠢いて出てくる繭とか、何もかも気持ち悪いいいいいいいい!私3Dの蜘蛛とか芋虫は結構ダメなんです。ノサリスの群れとかと対峙する方がマシですはい。
途中でまた地表へ出ますが、そこでは雨や夕焼け等、いつもと異なる地表の姿が見れる他、核戦争の余波で墜落した飛行機の当時の状況を幻視して死に掛けるというダークワンの仕業?と疑いそうな超常現象にも見舞われ、この人間を拒む死の町を堪能できますうっひょー。
駅を作り込むのがメトロの良いところ
こうして地表から辿り着いたのが、シアター駅。名前の通り、このメトロの中に縮小された人類の生活の中で、劇場での演劇という芸術文化が生き残っているというすんばらしい駅なのです。当然いつものように、駅では武器のカスタマイズや購入等のショップが利用出来るので、ここまで集めてきた軍用弾で色々お買い物。今の所は信頼と安定のリボルバー、信頼と安定のダブルショットガン、信頼と安定のガス銃ティハールでプレイしているので、軍用弾を弾として使うことはしばらくないかもですなぁ。
やはり駅なので、人々の生活の様子もばっちり描写。様々な会話を見たり聞いたりできます。影絵やお手玉で子ども達と戯れるおじさん達、夫が殉職したと聞かされて泣き崩れる女性、子ども達に父親がもう帰ってこないことをどう話せば良いか悩む人妻達、それらの横で大声で今日の公演を宣伝する人の心が無いサンドウィッチマンのおっさんと、こういう足を止めて世界観にどっぷりのめり込める作り込みが為されているのがメトロの良い所。
駅はただ素通りするなら5分、少し買い物とかするなら10~15分、全部の会話とか公演とかチェックするなら1時間掛かる、こういう所ですよメトロは。
なんと目玉である公演も足を止めて最後まで見物出来るという太っ腹。演奏、ダンス、サーカスのライオンならぬノサリス等、様々な演目が見られます。実はアルチョム、日記によるとこの駅に来れたことにえらく興奮しており、前から見たかったそうな。こんな時だけど願いが叶って良かったね。
何が友達だ相棒だ馬鹿野郎この野郎!
哀しいことに、パヴェルは裏切り者のクソ野郎でした。約束を反故にし、自分の所属する共産主義者へアルチョムを引き渡しやがったのです。ただ、パヴェル自身もアルチョムへの友情自体は本物らしく、頃せないが見逃せもしないから仲間になってくれと思っているようだ。よし、次に会ったらアルチョムパンチとアルチョムナイフで引導渡してやるからなテメェ。
しかしそこに現れたのは共産主義者のリーダーであるモスクビン書記長と、その部下であるコルブト将軍、そしてオーダーから逃亡したレニンスキー。どうやらこいつの飼い主は共産主義者だったらしい。D6の情報はファシストだけでなく、敵対する共産主義者にまで知られてしまったのです。おまけにアルチョム自身も自白剤で拷問にかけられ、恐らくは情報を引き出されてしまったと思われます。ちなみにこの時、アルチョムが幼少の頃にダークワンに助けられた記憶が蘇るという演出が。ダークワンの精神汚染が効かなかったのはこれが理由かな?
最終的にアルチョムはモスクビン書記長の息子であるレオニードに救われ脱出。どうやらモスクビンの手腕は暴力的で強引なものらしく、レオニードはモスクビンの兄で前書記長だったアンドレイの温和で平和的なやり方を尊敬している真人間みたいで、アルチョムへの拷問に我慢ならなかったみたいです。ありがとなレオニード君、また会いたいなぁ。
そして共産主義者の実権はどうやらコルブト将軍が握っているらしく、共産主義者の情報はメトロ中に漏れているわ、更に赤軍メトロ連合なる不穏な言葉も聞いてしまいますが今のアルチョムにはそれを考える余裕は無し。捕らえたダークワンの情報を渡されて去っていったパヴェルを追うことになりました。待ってろよパヴェル、必ずぶっ頃してやるからな♪