その男に感情で立ち向かうな。これ程本作を表す適切なキャッチコピーがあろうか。
アンドレア・デ=ルーハはたらしである
ジャンプSQ.10月号が本日発売。『Thisコミュニケーション』第43話「LOST SIGNAL」が掲載されています💣ご一読よろしくお願いします。
画像は今月号の一幕より。 pic.twitter.com/AO7kuaFzgb
— 六内円栄 (@rokudaimaruei) September 3, 2023
前回、ハントレス達の絶体絶命の状況はななの犠牲によって救われましたが、血濡れの懐で帰る手段を失った状態からハントレス達が蘇生する8時間をどうやってデルウハ殿は乗り越えるんだ?無理じゃね?という疑問があったわけですが・・・
今回はオスカー以降にこれまで何度も登場してきた人付きイペリットの特性をこれでもかと描写、フル活用する回。今までのイペリット戦との大きな違いは、血濡れ及び尻尾付きに取り込まれている氏体がUNAの隊員、ななはち、新所長派の替建達や、更に元々のプランとして持ってきていたおかんこと木手井と、全員が研究所及びデルウハ達の味方の立場になる面々。
で、これまで描かれてきたように人付きは意識を強く持てばイペリットの本能を抑えることが出来る。不幸中の幸いにもコミュニケーションが可能になったことで、デルウハ殿は一度は氏んだ者達を説得して侵攻を抑える手に出た。
脳組織の一欠片を一匹のイペリットの中でだけ増殖させて自分達が操れる脳を搭載したイペリットを作るつもりだったのが、体ごと丸ごと増殖するイペリットになってしまい、それを解消出来なかったのが新所長派の研究の失敗だったようで。そういえば、デルウハ殿の移植用の目を作る過程で脳も出来ていましたね。原理的にはこの工程を改良して、ピンポイントに特定の部位だけを作れるようにしたかったのかも。
結果的に替建も尻尾付きになって血濡れに取り込まれた後、バラバラになった脳が集まったことで自我を取り戻したことで、皮肉にも研究は成功したわけですが。
そんなことある?って形で死んだ木手井とななはちも、人付きと化したことでもう一度話す機会を得られたので、なんか人付きになるのも悪いことじゃないように見えてくるのがちょっと怖い。合理的ならオスカーでも木手井でも結婚しても良いと考えるデルウハ殿はもっと怖いけどな。というかオスカーお前求婚してたんかい!
必ずしも進化=更なる脅威ではない
そして自我を得たイペリットという衝撃の存在が全てを持っていき、めでたしめでたしみたいに終わろうとした人付き達を一掃してしまった。いや抱き上げてるのが謎の赤子とか、定番だけどホラー過ぎるわい!新所長派との件はこれで諸々に決着が着いたけど、ななはちも本当に退場か・・・
イペリットはこれまでもやけに効率的に人間を絶滅させようとしている感があっただけに、人間が自分の体でやったことを彼らが真似できない道理は確かにない。デルウハ殿に呼びかけられた第一声で理知的に人の言葉で流暢に返答している辺り、知性もあるのが見て取れる。それでいて自我に従い本能を抑えることも出来て、あり得ない位不気味な進化を果たしてる。
氏体になっても人付きになれば蘇生し、イペリットも人付きの影響を受ければ人間並の知性を得る・・・なんか、人間とイペリットの境界がこの先曖昧になるかもって感じるような膨らませ方だし、遂にイペリットという異種とのコミュニケーションまで起きるとは。機動戦士デルウハ00。
・・・が、そんな進化を果たした個体が最初に出会い対話をしたのが、世間話をしながらハントレスを解体するような最低殿だったのが運の尽き。初めて会った人間に特別な執着を持つのは仕方ないが、それを有効に活用して活路を見出すような悪辣で、人類にとっての偉業とも言える初のコミュニケーションも三食のある生活の為に利用する事しか考えないこの男。
今までになく強大な力を持っていた血濡れでしたが、まさか自我を得る程の進化を果たしたのが原因で倒されるとは・・・もしここまでの進化をせず、あくまでも動物的な反応をするイペリットのままであればもっと苦戦していたんじゃないかと思う。イペリットの底知れないヤバさが、人間に近づくと却ってデルウハ殿が御しやすくなると証明されたことで少し和らいだ気はするな。やはり中途半端な知恵より物理だよ物理。
そしてデルウハ殿には今回の件の知識が丸々残るわけで、ななはちや新所長派も失ったものの、研究所サイドが得た物も大きいと思う。以前に出た情報は惜しみなく有効活用されていくこの漫画、「尻尾付きのような特性があっても人付きイペリットにすれば頃せる」「新所長派の理論は正しいことが証明された」「イペリットは自我を得る」という重要な情報は、この先も何らかの形で関わってくるに違いない。
何だかんだ、ハントレス達の経験値と研究所の知識と技術も高まっているので、次にどんな展開が待っているのか色々と楽しみです。