ゆるキャン△が何故良いのかと思った部分を分析してみる

なでしことリンが出会ったのは11月の頭。ゆるキャン△の物語は今月から始まっている。

今更ですが、そんな「ゆるキャン△」の原作漫画を先月に1巻から7巻までまとめて買っちった。アマプラでアニメを見たのや2期や映画化の決定もあって自分の中で色々気になっていたので思い切った。意外にもアニメを見てから漫画の原作を買ったのはこれが初めて。

アニメを見た時から不思議と「女子高生部活ものにしては妙に自分が見たくなる作品」だと感じていたのですが、原作の方も全部読んでみて何となく分かった。それはキャンプ漫画ということ以前に、女子高生ものにありがちなご都合を極力排しているからかなと思います。

割と自分はペルソナ4や夕闇通り探検隊やコープスパーティーみたいに、フィクションでも等身大なキャラクター達が好きな傾向にありますが、ゆるキャン△は作品内でのキャンプ自体にフィクション性が薄い。そこが自分の琴線に触れているのかなと。

金銭的なご都合が無い

けいおん!を代表するように、一人大金持ちのキャラがいたりして金銭的な不都合は解消してくれるという作品も世の中そこそこあったりする。ゆるキャン△の場合はそれがない。

リンは最初から一通り道具が揃ってるけど爺ちゃんのお下がりだし、普段からバイトしているがそこまで余裕があるわけじゃない。1巻の時点で野クルのキャンプ道具は十分に揃っていないけど、数人の諭吉に目を回したりシュラフカバーを身の回りのもので代用しようとしたりと、キャンプ道具が高いことはその後も繰り返し話に出てくる。

7巻の時点では全員がバイトをするようになっていますが、それでも数万円はおろか数千円でも学生には高い買い物であるという、全員が真っ当な金銭感覚の中で、限られたお金をやりくりして買い物の段階からキャンプを楽しんでいる。

なでしこの気に入ったガスランプとか、それこそ金持ちキャラがいるとその場で手に入ったりしてもおかしくないですが、原作の通りなでしこがあれだけ興味を示しても、アニメ一期の範囲ではなでしこは買えておらず、買えるのはバイトのお金が入った年越し後。欲しい物の為に頑張ってバイトをする、という現実と同じ行程を丁寧に経ているからこそ、なでしこがランプを買えた話は読者目線でも共感しやすいと思います。

いつでも皆一緒ではない

女子高生5人がメインの作品に見えて、5人が全然一緒では無いのはちょっと珍しいかもしれない。割と部活ものや女子高生ものって、メンバー揃って部になったりして、その後も殆ど一緒にいたりするものですが、野クルは未だに野クルで、リンも恵那も一緒にキャンプはしても野クルに参加はしていません。というか、5人が一緒にキャンプをしたのもクリスマスキャンプのみですからね。

作中では何度もキャンプが行われていますが、同じメンバーで行われたキャンプはソロキャンを除けばなでしことリンが2回だけ。それも最初の餃子鍋の時はなでしこが車中泊なので、なでしことリンがちゃんと2人でキャンプをしたのはまだ1回だけです。

学校でも5人が一同に介したことって無いし、7巻では全員がバイトするようになって野クルもお休みが増えていたりと、まるでご都合かのようにメンバーが一緒くたに行動させられるという展開が起こらない。お互いにお互いを尊重し合ってるけど、ちゃんと作中で一人一人に事情があって、一緒にキャンプに行く人もいれば行かない人もいる。

いつでも誰かと一緒、というこの手の作品ではお約束となりがちな展開をやらない点は、むしろ毎回違う場所で違うメンバーがキャンプをするという二重の新鮮さを生み出すことに繋がっていると思います。

そして後に、今度はなでしこがソロキャンに興味を持って7巻では実際にソロキャンに挑戦しています。元々リンがソロキャンをやっていたのになでしこが遭遇してキャンプの楽しさに目覚めて、そして集団のキャンプを何度も経験した末に、自分も一人でキャンプをしたいと思うようになる。

一人での趣味を否定せず、かといって集団での趣味を絶対視するようなこともなく、一人でのキャンプも集団でのキャンプもそれぞれに良さがある。どちらも良い。当たり前のことなんですが、とても大事なこと。それをちゃんと描いている点が個人的にはとても好感触。

大人が大人として機能している

キャンプ飯と言えば、酒。とまでは言いませんが、学生がやるには金銭的に厳しい趣味でもあるし、大人の方がやっている割合は圧倒的に多いでしょう。そして大人にとっては、こういった場で料理と一緒に呑む酒はマージで美味しい。それを楽しみにキャンプする方も多いでしょう。

しかし、キャンプ漫画でありながら、メインの5人は高校生なので当然ながら酒を呑めない。代わりにグビ姉こと鳥羽先生がその役割を担い、最初の酔っぱらいのお姉さんから始まり、クリスマスキャンプでのベーコンとビール、大間々岬での鍋と日本酒等、大人のキャンプの楽しみ方を彼女が一手に引き受けることで学生メインのキャンプ漫画であると同時にキャンプと酒の楽しみも描写出来るようになっています。

アニメではほぼクリキャンからしか関わっていませんが、酒が入っていない時は経験の浅い彼女らを指導したり、次の行き先について相談相手になったりと、野クルの顧問としてもきっちり仕事をしており、この作品において鳥羽先生が果たす役割はとても大きいと思います。

桜さんもドライブが好きなので足代わりになることは自分の実益も兼ねているので、こちらも便利な舞台装置にはなっていない。リンやなでしことは別に遠出の度を楽しむ一方、なでしこのバイトを見つけてあげたり、こっそり心配でキャンプ場までソロキャンの様子を見に行ったりと、姉妹仲の良さは随所に垣間見える。

それでいて1話の時点からなでしこ共々関わることが多いおかげか、7巻ではリンにとってなでしこが心配な同志として、そしてキャンプする友達とは別の交友関係として確立されたようにも見受けられます。主要なキャラの中で唯一キャンプに参加していなかったり、桜さんの立ち位置は独特ですが、けれども決して外せない配役だと思います。

当たり前から逃げない作風が良い

キャンプというものは移動に時間が掛かるし、荷物は多いし、現地に着いてもそっから色々やらなきゃいけないし、そもそもお金が掛かる。けどそういう不便や苦労を経てこその時間や場所が楽しい趣味であり、そういう面倒な部分から目を背けてしまったらキャンプの面白さというものは損なわれてしまうと思います。

1話の時点から、リンが自転車に荷物を積んで山道を登り、テントを立て、薪を拾って火起こしをするというキャンプで必ず起こる手間を省くことなく描いている。薪で焚火をすることによるデメリットをリンが気にしている。この作品ではそういう面倒な部分もちゃんと描きますよと言っているようなものだ。

ゆるキャン△の作中で行われるキャンプは、不便や苦労を経るからこそ楽しくて面白いというキャンプとして当たり前のことを描写しているからこそ、面白くて共感出来るのかなと感じました。

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