逐一ブログに書くより、一気にクリアしたい欲が勝り、「DAYS GONE」を無事にクリアしました。ストーリー重視なだけあって、段々と主人公ディーコンへの感情移入度が増していき、彼とサラの行く末を見届けたくなって遊びましたが、自分としてはとても良いゲームでした。去年買ってしまったゴミと違って、こちらは遊んで正解だった。
滅んだ世界を救うなんて高尚な目的があるわけじゃなく、ディーコン自身と彼に関わる人間の小さな世界だけが変わり、これからもあがいて生きていく。決して大きくない終わり方も気に入りました。
ストーリーの山場でバイクでの移動中に流れる挿入歌「Soldier`s Eyes」と「Hell or High Water」も物凄く雰囲気にマッチしていて、メロディも歌声も素晴らしく、個別に楽曲を購入して電車や車で聴きたくなるような曲でした。
荒廃した世界の生存者の在り方
ラスボスのスキッゾはアンチャ1のような倒し方でしたが、こいつが同行するミッションがあって良かった。好きなだけそこでぶっ〇すことが出来ますからね。自分が先にディーコンをハメておきながら、最悪のタイミングで再会した時の第一声が「裏切り者!」ですからね。どこまでクズなんだこいつ。
奴は生存者キャンプに身を寄せていたのが不思議な位のクズでしたが、本作は各地に出没する野盗もクズばかりで、こちらが襲いに行かずとも道路にブービートラップ仕掛けたり木の上から狙撃したりしてドライブを邪魔してくるので、心置きなくぶっ〇せる作りになっているのが良い。基本的に野盗には〇意しか湧きません。
この手のゲームにはお決まりの自分たち以外は略奪対象としか思っていない野盗ですが、本作ではディーコンの口からアメリカの35人に1人は犯罪者と説明が入るので、野盗がいつまで経ってもいなくならないのも納得出来ます。犯罪者の方が一般人よりよっぽど混沌とした状況では生き残れる邪悪な知恵と、それを行動に移せるでしょうからね。
対して、それ以外の奇跡的に生き残れた一般人は生存者キャンプを作り身を寄せ合って暮らしていますが、その在り方もキャンプごとに丸っきり違うのも面白い。カリスマ性と陰謀論でまとめるコープランド、刑務所のような運用をして人々から不満を持たれているタッカー、人を信じる善性を失わないリーダーのアイアンマイク、そして彼らのような生存者までも人類の敵だという妄執に憑りつかれて襲撃したギャレット大佐。
ストーリーを進めていく過程で必ずどのキャンプにも立ち寄り、彼らからの依頼を何度か受けないといけないので、ディーコンとその周辺だけでなく荒廃した世界を生きている人々へのスポットライトも強く当たっているのが個人的にこのゲームの良いなと思った部分です。特に物語開始時より前の関係やその後もあって、アイアンマイクとロストレイクキャンプは、民兵を率いるギャレット大佐とウィザード島との対比にもなっているような気がする。
終盤、ギャレット大佐が率いる民兵の襲撃が、他の生存者キャンプ達を結び付けて共闘する熱い展開へと繋がるのですが、感染者と戦う為に組織してまとめあげたはずの民兵が人々を襲い、人間同士で戦う為に別の人間達が結束する。サラを救う為でもあるし、ブーザーが特攻したりして盛り上がるのは確かなのですが、どうしてここまで生き残った人々が手をとりあえず争うことになるのかという無常さもまた、荒廃世界独特のもので素晴らしい。
アイアンマイクもギャレットも最終的にどちらも亡くなりますが、マイクは善性が祟って命を落とし、ギャレットは暴走した狂気が原因で命を落とした。残された者達がその後取った行動は、マイクの為に!とディーコンと共に立ち上がったロストレイクの住人に対し、イカれた野郎から解放されて良かったと誰も復讐を考えない民兵。指導者の在り方、慕われ方も意図された関係なのだろう。
ただ、どちらも完全に間違っているとは言えない描かれ方でもあるとは思う。あくまでディーコンが主人公だからギャレットと民兵が悪であるかのように見えているだけで、荒廃した後の世界に正解なんてものはない。感染者が脅威だから団結して殲滅しようというギャレットの当初の考えをあの世界で否定出来るものはいないはず。
どのキャンプの在り方も正しいかもしれないし、間違っているのかもしれない。タッカーの治めるキャンプは行きたくないと思わせる描写だが、こんな世界で厳しく律しないと誰も生き残れないかもしれないと考えると間違った運営だとは思えなくなる。あんな世界の過酷さ、それでも生きる人々の在り方、どちらもしっかりと描写されて、世界観の面でも満足出来るゲームだった。