The Last of Usをクリアしました ~最後まで心を揺さぶられる2人だった~

冬まで進めて止まっていた「The Last of Us」、思い立って木曜と金曜の夜にクリアしました。季節的には半分経過したけど、この時点でボリューム的には残り1/3位だったみたいで、それほど時間を掛けずに終われました。

前回から間が空いたとは言え、やはりジョエルとエリーの疑似的な親子の関係、もうひたすらエモいし哀しいしで、続編を抜きにしても、お互いが本当に大切な存在だけど、ジョエル目線ならハッピーエンドだけどエリー目線ではそうじゃないっていう擦れ違ったままの終わり方も良いんですよね。

知らないおじさんを信用してはいけない

季節は冬。DLCでの戦いも経て、まだ療養中で動けないジョエルに代わってエリーを操作。まずは鹿の狩猟から。DLCもそうでしたが、エリーの操作中は使える武器が制限され、ステルスキルも音が出てしまうしサプリや改造も引き継がれない等、ジョエル操作の時以上に慎重さと大胆さが要求された印象。弓があるのが唯一にして最大の救いですね。凍った川の上を歩けたり、見るからに寒そうだけど美しいグラフィックもまた冬編の特徴。

そしてこの怪しい男デビッド。電刃波動拳を撃ってきそうな声をしています、どう考えても怪しい奴じゃねぇか。どうやらこの野郎、DLCも含めてこれまで散々ジョエルとエリーに襲い掛かって来た略奪者達のリーダーの模様。紆余曲折あって、こいつと共闘した後に素性がバレて結局エリーは捕まってしまいました。・・・まぁ、ある意味でジョエルにとっちゃこいつも「恩人」なのが荒廃後の世界特有の複雑さを表しているようにも思います。

エリーの危機を察知したのか、抗生物質が効いてジョエルおじさん再起動。略奪者どもをぶちのめして本拠地を吐かせ、単身乗り込んで奴らを殲滅。まぁステルス気味に動いて弓ばっかり使ってたんだけどね!

一方エリーはエリーで危機一髪逃げ出してナイフ一本での脱走劇。「銃がいる」ってエリーは言ってますが結局誰も倒すことなく銃は取らずに切り抜けました。そして最後はデビッドとの一騎打ち。何回かやられましたが無事に倒して冬を越すことが出来ました。

この章、ジョエルの目線だと目覚めたらいなくなっていたエリーがペットにされてると聞き、完全にぶち切れて必死になって生きてると信じて探し回った末、見つけたのは錯乱しながらデビッドを〇〇しているエリーの姿で、「かわいそうに」という言葉がエリーだけじゃなくジョエルにも当てはまる気がして、2人が無事に合流出来たのにひたすら哀しく感じた。

ジョエルからしたら、自分が倒れたせいでエリーが酷い目にあってしまったという自責や後悔もあるだろうし。そしてあんなことになったからこそジョエルに会えたエリーが泣き出すのも当然だし、これだけたくましく荒廃した世界に順応してもまだ14歳の子どもだというのを痛感した。

この時点でのジョエルのエリーへ向ける感情は「かわいそうに」というこの言葉に全てが集約されているように思う。これほどまでにたった一言で表せられるものなのか。

一方でデビッドはジョエルとエリーとプレイヤーからしたら「クソ野郎」の一言に尽きるが、奴の目線からすると女子供もいる大所帯のリーダーで、人喰いをしても尚食糧が足りないという切迫した実情もあった。被害は大きかったが、あれだけのしぶとさを誇るエリーを仲間に加えることが出来たらさぞ頼もしい存在になってくれたであろうことは難くない。

ぶっちゃけ、崩壊した世界において正義だの悪だのという秩序は既に無いし、ある者は隔離地域で安全に暮らし、ある者は他者から奪い、ある者はそれ以外の手段で報酬を得たり・・・と、個々に生き延びる為の方法が違うだけで誰が間違っているという訳でもない。今日を生きる為に得る食料が人か動物か、デビッドの言う通りこの世界じゃ何の違いも無いわけである。

生き延びる為の生存競争で、ジョエルとエリーにデビッド達は敗れた。それだけなのだ。

近づいたはずなのに擦れ違う

季節は一周して春。遂にジョエルとエリーはファイアフライがいるだろう病院の近くまで辿り着いたのであった。キリンがいるわ、戦車まで放逐されてたりでテンション上がるぅー↑↑↑

ここまで来ると、ジョエルがエリーに向ける声色も優しい。全てが終わったら引き取って一緒に暮らす気なんだろうなぁって。でもエリーの方はどこか上の空だったり、もうすぐこの旅が終わりジョエルともお別れになるだろうことを察しているような雰囲気。

ここまで長く旅をしてしまったからこそ、ジョエルの方がエリーを自分の側から放したくないのが伝わってくるが、エリーの方は旅の目的、そして自分がどうなるかも分かっていてそれから逃げるつもりが無い。終わったら好きな所に行こうとエリーは言うが、それは叶わないことだと分かっているはず。これだけ近づいたはずなのに、いや近づいたからこそ旅の終わりを前にして2人がすれ違っているのがどこかやるせない気持ちになる。

その後なんやかんやあって遂にファイアフライの元にエリーを送り届けたが、その直前にファイアフライには殴られて気絶させられたし、目覚めた後もエリーには会わせないしまた殴って来たし、もうジョエルおじさんブチのギーレ。ファイアフライの屑どもをジェノサイドしてエリーを取り戻すのだ。

てかマジでプレイヤー目線だとファイアフライどもがムカつくので、ここで手に入るアサルトライフルも含めて全ての武器道具を惜しみなく使って一人残らず殲滅するに限りますわね。事実上ラストの戦いなので出し惜しみは必要なし。ジョエルおじさんの怒りと私の怒り、思い知るがいい。中級だと火炎瓶も爆弾も一杯作れて良いですね、ええ。

旅の果てに得たものと失ったもの

エリーを取り戻したジョエルはマーリーンもヴァルハラに送り、車で逃走。トミーの集落へ帰ってきました。あのアバズレ、最初にエリーを送り届ける商談をした時に「銃を倍にして返す」って約束したはずなのにそれも守らないんだから、逝くしかないよね。

彼女は自分と同じくエリーを大事に想っているジョエルは殺せないとレコーダーに残していましたが、ジョエルとマーリーンは違う人間であることを彼女は分かっていなかったんでしょう。ジョエルが二度と娘を失う選択肢を取るわけがないことを理解していなかった。父親が娘を奪われるということがどういう意味を持つのか。エリーを犠牲にすることを割り切ったくせに、直接にはそれと関係のないジョエルは殺せないその甘さが文字通りの命取りとなった。

最後のアクションが手を取ること、「どうせ最期は皆おかしくなっちゃう、私はまだその時を待ってる」というエリーの吐露、エリーにサラを重ねててバレる嘘を貫き通したジョエル、それに対して「わかった」と答えたエリー。この短いエピローグに語り尽せない程の2人の感情が詰まってて、自分じゃ上手く語れそうにない。

最後の最後にエリーを操作するのは、エリーがジョエルの手を離れたことを意味しているようにも見える。

エリーとの旅によってサラを失った日から止まっていた時計が動き出したジョエルは、それによって自分の中に再び芽生えた父性により、世界を救って死ぬことを望んでいたエリーを生かしてしまった。エリー自身の思いすら踏みにじって。世界がどうなろうとエリーがどう考えていようとジョエルにとっちゃ知ったことじゃなくて、ただただ娘を失うことなんて出来なかった、それだけのこと。

「何があっても戦う目的を見つけなきゃダメ」とジョエルは言いますが、「俺はお前が犠牲になることを望んでいると分かっていて生かしてしまった、だからお前は生きる為の目的を見つけてこれから生きていくんだ」と、そう言っているんですよね。この世界で誰もが生きることに必死でありながら、エリーだけは死ぬ為に生きてきたから。

でもエリーはそれを望んでいたわけじゃないから、最後まで2人は擦れ違ったまま旅を終えることになったと。続編では関係が悪化しているそうですが、旅の最後にジョエルがエリーを裏切ってしまったことが影響していることは疑いようがないかな。

やっぱり上手いこと言えていないような気はしますが、本当にこの2人について考えだすとキリが無い。それ程にこの2人の造形とこのゲームを通じた関係性の変化と終着は見事としか言いようがありません。

紛れもなく神ゲー中の神ゲーだった

荒廃した美しい世界、正義も悪も無い生存者たちの事情、感染者達の恐ろしさ、ステルスとサバイバルの融合した絶妙なゲームデザイン。そしてそれ等全てを上回る、ジョエルとエリーの変化していく関係性とその旅の終わり。

本当に、素晴らしいゲームでした。無期限の延期となってしまいましたが、続編のパートⅡの発売を迎える準備もこれで整いましたし、正式な発売日を待ちたいですね。

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