「それでも歩は寄せてくる」9巻は、歩が好きだと気づいた上で将棋部の日常に戻ったうるしがその気持ちに戸惑いながら歩と接することから始まり、4枚落ちでの歩との勝負、そしてまさかのお父さんとの遭遇、桜子ちゃんがとんでもないことを!?と読み応え抜群。
今までどう過ごしていたんだっけ・・・?
好きだと自覚したことで、久しぶりに顔を見る歩を前にして何だか若干挙動不審なうるし。
ただ挨拶をされるだけで言葉に詰まったり、いつもの調子で好意を向けられたら部室から逃走しちゃったり、お土産を渡すことすらハードモードに変貌。恋する少女は一挙手一投足が可愛い。そんな部長の気も知らず凛ちゃんはお菓子の山に目を輝かせていた。
下校中もそれは変わらず、今までの距離感が分からなくなっちゃって離れ過ぎたかと思ったら近くなりすぎたり。って歩も離れるんかーい!
うるしが恋をしていることが嬉しいマキのアドバイスもあって以後は落ち着いた矢先、今度は凛にみっちりしごかれた歩が自身に四枚落ちで勝てる程強くなっていたので、将棋も強くなくなってしまったら歩が自分への興味を無くすんじゃないかという心配まで・・・
歩の言葉ですっかりいつもの調子を取り戻した所で、部になったんだから大会に出れるということで大将を決めることに。自分は小さいし弱そうに見えると自虐して大将に決まったけど、それで良いのか部長よ・・・歩への恋を自覚して新たな一面が出た一方で、将棋部の部長&センパイとしての今までの一面も健在です。
極めつけに、下校中のアクシデントで歩を家に上げることになってお父さんとご対面し、お好み焼き屋で歩とお父さんが対局なんてする羽目に。何やらお父さんと将棋にはあまり触れちゃいけない雰囲気を出していましたが、この作品の作者、山本崇一朗先生ですからね。
蓋を開けてみればお父さんは別に将棋が嫌いってことも無く、ただただ面倒くさいというか不器用なだけだったという。高3と高2で結婚しますと言われると勘違いしたり、見た目に対してギャップの激しい人だった。そしてお母さんもなんか・・・人妻特有のオーラを感じる。元高木さんとは別ベクトルで、凄く強い人妻って感じが、する。
巻末の描き下ろしではその後の八乙女家の様子が描かれ、昔のように将棋をする親子の日常も戻ってきたようですね。
桜子ちゃん、恐ろしい子・・・凜ちゃん、よく食べる子
歩の告白が四枚落ちで勝てたらと勘違いしていた凜ちゃん。お菓子には目を輝かせ、お肉もたっくさん食べるいつも通りの食いしん坊ですが、歩へは結局告白できなかった凛ちゃんとしては、このまま平手で勝てず告白出来なかったら深く後悔すると思っているようで。
もしもこの段階で告白出来ていれば凛ちゃんの気持ちにもバッサリ整理が付いていたんだろうなぁと思いますが、そうはならないから10巻以降の自分の気持ちに素直な可愛い凜ちゃんに繋がるのだ。でも、その先に待っているのが失恋だと思うと、凛ちゃんにこの先待ち受けている展開がお辛いのだ・・・
そして桜子ちゃんは突然タケルくんにキスをした。・・・?へっ??まだお互いに告白とかしたわけでもないのに、突然のキス???愛情表現の階段を20段くらい飛ばしてない?しかもその後は何事もなかったかのように。桜子ちゃん、ちょっと強過ぎない?