ガールズ&パンツァー 劇場版Variante 7巻 感想

それぞれの場所で、それぞれの戦いを。

ほぼ1年ぶりの単行本となる「ガールズ&パンツァー劇場版」の最高なコミカライズ「劇場版Variante」の第7巻が本日10月21日に発売となりました。

今回の表紙はマリンタワーを背景にうっひょー澤ちゃんが表紙にいるぅ!・・・失礼しました、カメ・ウサギ・カバ・アリクイの各チームのリーダーである会長・澤ちゃん・カエサル・ねこにゃーの4人が目印。配置や全体を見る感じ、恐らく8巻の表紙と繋がっていて残り4チームが書かれているんじゃないでしょうか。今からでも早く見たいですね。

ハッピーエンドにはスマイルもセットじゃないと

6巻の終盤に引き続き、黒森峰を守るサンダース勢の戦い。指揮権を委譲されたアリサは、お得意の無線傍受ではなく、大学選抜側が使いそうな数字を片っ端から試すという人力ながらも、アリサしか出来ない、それでいて大洗の一員としても問題の無いやり方で大学選抜の無線に割り込み、タカシとのイチャイチャライフという妄想を垂れ流して挑発。そしてナオミは黒森峰が逃げ込む施設の入り口を得意の狙撃で破壊し、大学選抜の追撃を断念させる。

サンダースは結果だけを見ればバミューダ三姉妹に倒されたのは劇場版と変わりませんが、単なるバミューダアタックのやられ役ではなく、身を呈して仲間を守り切っての退場という非常に意味のあるやられ方に変更。アリサも自分の得意技を活かした活躍を貰い、ナオミの狙撃はより長距離の難易度が高いものとなり、ネームドの3人全員に読み応えのある補完が為されました。

また、まほとエリカはここまでに小梅とエミを失い、サンダースに守られ、そのサンダースのおかげで辿り着けたのも事前に情報を調べ上げたアンツィオのおかげでもある等(まほチョビ・・・だと?)、他のチーム以上に仲間から託され、背負っているように描かれています。急造チームのチームワークを皮肉っていたエリカに、これが最終的に効いてくる積み重ねになっているように自分は思います。

6巻から続き、ケイの笑えないジョークで始まり笑えないジョークで締めたサンダースの戦い。5巻の時点ではただナオミやアリサをトーンダウンさせるだけに見えましたが、実際はこれによって2人はコンディションを整え、同時に勝利には笑顔もセットじゃなきゃいけないというケイのこの試合への願いも込められた重要なものでした。例え試合の半ばで倒れようと笑顔で皆の勝利を信じるケイさん。Varianteではメインの出番の最後の一コマまで、アメリカンサイズの器の大きさを見せるマブい女でしたね。

どんな時も楽しく賑やかに大洗(ウチ)らしく

お次は場面変わって、ローズヒップやカチューシャと一緒に行動する大洗女子達。

カバさんチームのマカロニ作戦ツヴァイは単なる三突のアンブッシュ用だけでなく、地面に敷くことで崖を生み出して行軍を遅らせたり、飛翔する砲弾を見せて判断が遅れた所を攻撃に繋げたりと、更に多彩な用途に。カモさんも不良時代の経験から逃走時にパラリラ走行の煽り運転をかましてヘイトを集める等、陸にいた時の各チームの変化がより試合に直結するような補完が為されています。

一方のアリクイさんとレオポンさんは、カチューシャがカッちゃんだのジェロニモだの本編で呼ばれていたことから、一見すると廃校が掛かった試合にも緊張感が見られない賑やかな様子にカチューシャから苦言を呈されるという展開になっていますが、対してナカジマ達はこれが大洗(ウチ)だとどこ吹く風。そのらしさを貫いたままカチューシャと連携してパーシングを撃破し、勝ち鬨代わりに旅する観覧車先輩を砲撃。

負けるかもしれない、これが最後かもしれない。それでも最後まで大洗の生徒として、大洗らしく楽しんで戦おうと。離れた場所にいるカエサルもナカジマも、思うことは同じ。例えどこにいても、大洗女子学園の生徒の在り方は変わらない。5巻では大洗(ウチ)らしさを会長が爆発させていましたが、生徒会以外の面々も同じように、皆が自分達の在り方を自然体で表現している。援軍ではない「元々の大洗女子学園の面々」の一体感を、Varianteではより感じられるようになっていますね。

友情の為に戦う姿は紛れもなく優雅である

ナオミがサンダースとして戦って倒れた為に、T28の撃破も聖グロだけで行う形に変化。T28との再度の遭遇、履帯パージ、T28撃破までが聖グロパートとなっています。何と言っても、みほの為に熱い姿勢を崩さない、みほへの好感度がカンストしたダー様の姿が必見。

ダー様はペコ達に優雅という言葉をどう捉えているか聞きますが、その答えは全員バラバラ。大事なのはそこに結果が伴ってこそ優雅であると説きます。要するにこれが聖グロの淑女の在り方、一人一人が自身の思う優雅を目指し努力し結実させることが大事であると、彼女は考えている。

そしてT28に蹂躙される中で彼女が下したのは、自分達の手でT28を撃破すること。全てはみほを失いたくない、みほを助けたい、その一心故。誰しもが考えたであろう、橋からの転落によるT28の撃破狙いは、確実性の問題でダー様が却下し、あのような形での底部狙撃になっていたわけですね。

オレンジペコはこれを優雅な勝ち方には程遠いと言いますが、むしろダー様は友の為に泥を被ることを誇らしげに語り、T28の撃破と引き換えに聖グロ勢の中で一番退場。

優雅の在り方に照らし合わせるなら、「みほを助ける為にT28を倒す」という目的を、泥に塗みれようとも果たしたダー様は間違いなく優雅。劇場版では「大洗の一員だから優雅じゃない戦い方も許容する」とも取れましたが、伊能先生は「みほの為に泥に塗れ倒れることもまた、ダー様の考える優雅な在り方である」と解釈したわけですね。

最後に送った言葉も、みほの好きな言葉である「友情は瞬間が咲かせる花であり 時間が実らせる果実である」に変更。みほへの友情に殉じたダー様に、これ以上なくふさわしい言葉でしょうね。

戦いは佳境へと差し掛かる

アヒルさんチームという指揮官を得た知波単の戦いは、最終章とも繋がるような描写も増えましたが、一方で遂に始動したセンチュリオンは装填手がガチでチートな装填を見せ、まずはアヒルさんと知波単を粉砕。少なくない仲間も倒れた中で、いよいよセンチュリオンの大暴れもここから始まっていきます。

ケイ車の発砲から続き、次々と撃たれて転がり続ける観覧車先輩の旅にも注目。劇場版Variante、まだまだ目が離せません。