ガールズ&パンツァー リボンの武者 12巻 感想

遂にやって来ましたこの時が、ということで「ガールズ&パンツァー リボンの武者」12巻では西住みほがようやく本格的に登場、そして前巻の引きからムカデさんとの試合をするかと思いきや、その前にしずかとヤイカが戦う事に。この戦いも未消化でしたからね。

一緒ならどこまでも

ようやくみぽりんとご対面したしずか。しかし彼女は実際に会って自分とみぽりんとの圧倒的な格の違いに戦慄、恐怖して、彼女に討ち取られて終われば良いと思ってしまった様子。当然ながら鈴はこれに激怒。彼女は負ける為に今までしずかの馬だったわけじゃないですからね。

これと似たような話が、「賭ケグルイ」でもありました。夢見弖ユメミが憧れの名足カワルというアイドルと選挙戦をすることになるも、あまりに格が違いすぎて完膚なきまでに叩きのめされて負けたいと思ってしまい夢子から激怒されるも、それでも最後は勝利を掴むという形で幕を下ろした試合がありました。

あちらでは最終的にユメミが一人で心身ともにボロボロになりながらも憧れより勝利への渇望を選び取りましたが、しずかは共に戦い続けた鈴、そしてエンドーのおかげでみぽりんを超える為に戦うことを選びました。

友達の話を聞いて、話して、一緒になって同じ方向へ向いていくというこの解決は、とてもガルパンらしいシーンではあるんですが、異色なリボンの武者らしく、下手したらこのまま絶交、チーム解散の危機レベルでの衝突。あんこうチームは絶対こうはなりませんからね。ある意味これもアニメでは出来ないことです。

しずかと鈴が真正面からぶつかっただけでなく、しずか自身の掘り下げ、そしてこれまでずっと裏方として動いてきたエンドーが何を考え、何を思い、2人を支え続けてきたのかが語られる等、前半はムカデさんチームとエンドーが主役でしたね。というかまぁ、彼女達が主人公だから当然なんですが、改めて本編キャラに負けない魅力がある子達だなと思いました。ホントに良いチームですよこの3人は。

ヤイカの楽しい前提は勝つことである

そして後半、みぽりんとの練習試合を取り付けたヤイカはムカデさんに対してボンプルの指揮下に入れと提案するが、指揮権を掛けて公式戦でボンプルvsムカデさんの練習試合が行われることに。ボンプル10輌に対して、しずかが声を掛けたのはアウンさんをはじめとする闇鍋で出て来た各校の隊長さん達4名。

5vs10という車輌の差、高い練度によってムカデさん連合を追い詰めるも、別動隊の動きによって強襲されヤイカは一気にピンチに。「フラッグ戦は油断すればひっくり返される」というドリタンプレイヤーが日々感じていることを今更思い出して焦るヤイカ。急にメッキが剥がれたみたいな感じだけど、彼女の場合はこれまでの経緯を考えると仕方ないのかもしれない。

遠慮なく言ってしまうと、戦車のせいにして公式戦車道から逃げて、タンカスロンで不意討ち上等なんて真似までして最強気取ってたせいで、タンカスロンでの経験は積んだ一方で彼女自身は一人の戦車乗りとして変化することが無く、戦車に乗ることが楽しいという境地に至ったしずかと違い、「勝てなきゃ楽しくない」という思考に取りつかれている。彼女は一人だけ、他の子達と比べても明らかに「勝つこと」に意識が向きすぎている。あの「闇鍋」を経ても尚。

プラウダに完膚なきまでに叩きのめされた、弱小のボンプル高校の指揮官。それがタンカスロンという別の舞台で最強とまで呼ばれるようになったら当然なのかもしれないが、それ故に油断、慢心も彼女は捨てきれていない。悪く言えば、彼女は登場当初から何も変わっていない。知波単ですら大学選抜を経て闇鍋での一回戦での動き方、アニメでは最終章2話での活躍は皆さんご存じの通りで、既に突撃馬鹿では無い。

言ってみれば、これから楽しく戦車に乗ることを体現するみぽりんと戦おうというのに、タンカスロンという場に心を置いてきたまんまなんですよね。みぽりんは誰が最強かなんて考えてもいないし拘ってもいないし、楽しく戦車道をやりたいだけ。に対して、ヤイカにとっては最強の戦車乙女で、彼女と戦い勝ってボンプルが最強だと知らしめたいわけで・・・うん、相容れませんねこの2人は。今のヤイカがみぽりんと戦うことには何の意味も無いでしょうね。

さらばタンカスロン、今までありがとう

遂に公式戦車道での練習試合ということで、この作品の根幹とも言えたタンカスロンでの試合はお別れ。闇鍋がタンカスロンの集大成だったんだなと改めて分かりました。

そのタンカスロンの中で様々なものを感じ取り成長してきたしずかと、タンカスロンという場でただ最強であることに拘り続けたヤイカ。確かにみぽりんに勝ちたいのは両者同じですが、戦車乙女としての楽しいことの定義に、2人は決定的な違いがあります。勝利に憑りつかれた少女に、しずかはどのようにして引導を渡してくれるのか。13巻に期待ですね。

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