既に何番煎じではありますが、「CINEMA Chupki TABATA」において「ガールズ&パンツァー劇場版」の「バリアフリー字幕・音声ガイド付上映」を観賞してきたのでその感想を綴ります。
目次
CINEMA Chupki TABATA(シネマ・チュプキ・タバタ)とは?
東京の田端駅から歩いて5分くらいの所にある、小さな映画館。
「目の不自由な人、耳の不自由な人、車椅子の人、発達障害の人、子連れのママ、全ての人を対象としたユニバーサルシアター」
として、昨年9月1日に開設しました。一般的に想像される映画館とは違い、それこそ居酒屋のスペース位の面積の為初めて行く人は少し戸惑うかもしれません。
シアターも全部で席数は20名分ほどと、非常に小さな映画館なのですが、先に述べたユニバーサルシアターとしてイヤホンの音声ガイドが用意されて映像には日本語字幕が付いており、車椅子の人の為のバリアフリー仕様と親子用の観賞室があります。
今回のガルパン上映はどんな設備だったか?
今回のバリアフリー上映は、映像はBD版。音声字幕が付いており、誰が何を喋ったか常に表示され視聴の補助となっています。
ガルパン劇場版で大事なのは音響ですが、岩浪音響監督が直々に調節を行っており、機種の統一やサブウーファーの増設により砲撃音で館内が震えるほどの極上の爆音、「ユニバーサルセンシャラウンド」をこのサイズの劇場だから実現しており、
一年前に立川で観た爆音上映を思い出す極上の音圧を体感出来ました。
そして最大の特徴の音声ガイド。用意された差込口にイヤホンを挿すと中上育実さんの音声解説がその都度流れ、「誰がなにをして、なにがどうなった」ということが説明されます。例えば序盤の音声ガイドを例にすると、「華がマチルダに照準を合わせ発射。マチルダからは白旗が上がる。」といった、映像が見えるなら分かるけど見えないと把握が困難になる部分を説明。
あくまで音声のガイドである為、中上さんが優花里ボイスで喋るわけではありませんが、ノンナとクラーラのロシア語の翻訳だと双方の声真似をしたガイドになっていたり、大洗の各店舗の名前や白旗戦車の回収車、各校の移動に使う飛行船や船などの名前も解説していたり等、不自由の無い人でも聴き応え抜群の音声となっていました。
個人的にクスリとしたのは、ももがーがレバーを破損しチヌが撃破された際、ムキムキのももがーと説明されていた所。
あと、上映前に観覧者全員で右腕を上げて「パンツァーフォー!」して始まったので、一体感が生まれた観賞だったと思います。
ユニバーサルシアターとしての映画上映
一年ぶりに劇場で観るということと同時に、今回の上映は色々感じたことがあります。というのも、実際目が不自由と思われる方が今回観賞していたらしく、もしも自分が目や耳が不自由だった場合、内容を把握してちゃんと楽しめるのだろうか?という疑問が鑑賞中に浮かんできたからです。
耳に不自由している人の場合だと、ガルパン劇場版の最大の特徴とされる音圧を楽しむことが難しくなりますが、映像と字幕によって、内容そのものはきちんと把握することが出来るだろうと思いました。戦車から白旗判定が出るのはそういう面でも非常に便利なものです。
しかし目が不自由な人の場合、映像作品の内容を把握して楽しむことは耳が不自由な人より難しいと思います。映像作品はその名の通り映像と音声で表現しますが、どうしても聴くだけでは把握が困難になる部分が出てきます。特にガルパン劇場版でその弊害が強いのは一番盛り上がって、そして余韻に浸るだろう最後の5分間とEDの2箇所。
最後の5分間は台詞を徹底的に無くしており、EDは台詞が一切無く、映像と曲が流れるのみ。そこから映像を抜きにすると、画面では何が起こっているか全くわかりません。
そういう意味では、この音声ガイドを導入するという試みは、その一つの解になると感じました。誰が何をして何が起こったか、撃破されたのかされていないのか、場面が逐一切り替わるのも解説される為、どこで何がどうなっているのかを把握する大きな補助となります。
最後の5分間とEDのどちらも、どんな映像が流れて何が起こっているのか詳しく解説しているおかげで、耳だけでも内容の把握が出来るような構成となり、耳が不自由な方も、目が不自由な方も楽しめる上映を、そのものズバリ実現したものになっていたと感じました。
他の映画館でもこの手法は取り入れていくべき
音声ガイドという手法は目が不自由な方への補助以外にも、今回のように映画の楽しみ方、表現の幅を広げるものだと感じました。ただガルパンの劇場版を観るだけでなく、映像作品というものの表現やあり方について色々と思いを巡らせる機会にもなりました。来て本当に良かったです。
明日でチュプキさんでの上映は終了となり既に予約も満員になってはいますが、今回だけで終わらせるのは非常に勿体無い。音声ガイドの商品化やリターン上映を、是非とも前向きに検討して欲しいです。
また、他の映画館でも「UDCast」というアプリの導入によってガイド付上映を可能にしているので、最終章の上映時にはそちらが対応になって、全国の劇場でも楽しめるようになったりしないかな。
以上、チュプキでのガルパン感想でした!