やっとだ。中学生当時に刺さったまま喉に引っ掛かり続けていた小骨が今、ようやく取れた気分だ…!
はい、そういうわけであのガンダムSEED DESTINYの続編であるSEED FREEDOM、公開から2週間経ちましたがようやく観に行って来ました。昨日から4DXの上映が始まり、生コマフィルムの配布も開始したはずなのですが、2日目の昼の時点で既にフィルムは無くなっておりました・・・いや確かに席はかなり埋まっていましたが、ガルパンの感覚のせいで麻痺しているのか、それとも供給自体が少なすぎたのか・・・
リアタイ勢こそ観に行かなければならない
初めに言っておくと、SEED DESTINY、通称デス種とか種死とか呼ばれておりますが、この作品については当時リアルタイムで毎週視聴していた人と後年にリマスターで一気見した人では根本的に認識が異なっているという面倒な事情があったりする。
私はリアルタイム視聴勢なので、バンクまみれで50話中5回も差し込まれた総集編、無傷の圧倒的強さの魔王キラ様とかラクシズとか、前作キャラを煽りイキり終いにボコボコにされたシンへの悪感情、ケンコウな生活とか、保健所のガンダム種DESTINYとか、ネットに流れる福田己津央監督と両澤千晶脚本家の夫妻への悪評とか、そういうのを全部目にしてきた人間の一人です、それも多感な中学生時代に。
なので種の後に何でこんなのがお出しされるんじゃい!っていう(# ゚Д゚)を抱えたまま最終回を見て、FINAL PLUSも見て、これで終わりってホンマに???と思いながらスパロボでの救済を見たりして気づけば30代のおっさん。もうムウより年上になってしまったとかマジ…?
そうして今になって殆どの人にとって忘れ去られたはずの劇場版がガチで上映されることが確定し、そこからどこぞの掲示板で話題を漁ったり種を復習したり、更に種デスも復習したりして、改めてコズミックイラの世紀末っぷりや今だからこそ冷静に受け止められることや分かることも多々確認した上で観に行ったのですが、そうして上映後に思った感想が冒頭の小骨の例え。
時間を置いて冷静に見られるようになっても、一言では言い表せない微妙な感情を抱えたままだった多くのリアタイ勢の魂を成仏させるレクイエムに本作はなっていたと思います。・・・まぁ、当時に総集編を5話もやることが無ければ、キラやラクスの内面をあんなに理解しにくいまま19年も経つことは無かったんじゃないかってのはそれは・・・そうなんですが・・・
そりゃこいつらが一堂に介したら勝てない相手なんていませんわ
ともかく、前半は遺稿となった両澤脚本と言われる通り、冒頭から花が吹き飛び未だに戦いが終わらないC.Eの終わりっぷりから始まり、擦れ違うキラとラクス、そこに出てくる今回の敵ファウンデーションとそこの変な下野と変な田村ゆかり、これから騙し討ちするにしても有効的な態度を少しは見せろと言いたいブラックナイトのパイロットの連中、そして罠に嵌められてボコられほぼ全滅するキラ達、当たり前のように飛ぶ核ミサイル・・・と、これぞガンダムSEEDだな!って要素で構成されてましたな。
特にキラへの入念な曇らせ方とか、アグネスの濃さは間違いなく両澤脚本。まさかアークエンジェルが撃沈に加えて消滅までするなんて、恐らくそこが一番ショックだったかも。しかも武装も一つずつ丹念に潰していってエンジンも切り離し、最期は舞い降りなかった剣でブリッジを吹き飛ばされるという丁寧な沈め方。
ただ、そこから赤いズゴックであのBGMっぽい曲をバックに救援に来たアスランから何かもう別の映画になった感がある。あそこから巨悪に対し一度敗れ去った主人公勢力+αが盛り返して総力戦って流れが、これまでの種とは違い非常にシンプルで分かりやすい王道展開。
ストフリや運命、インパルスはお馴染みの何が眠ってるか分からないオーブの地下でひっそりと改修されてて、真の主役機として後半に活躍。ズゴックは隠者のオーバーボディ、アカツキも大事な場面で活躍するし、まさかのデュエルとバスターの改造機がまさかのミーティアで大暴れ。
そこに加えてTVアニメ時代のBGMのアレンジや、ストフリの換装ではMeteorが流れたり、音楽も使い所を完璧に分かってらっしゃる。てか、色々と情報分かった上で観に行ったけど、マイフリが降臨する時にMeteorが流れるの知らなかったからめっちゃ興奮した。やっぱフリーダムの降臨にはこのBGMが最高に合う。恒例の1枚絵での飛翔も美しい。
それと改めて思いましたが、ビームやスラスター音等のSEEDのSE、あれ本当に良いものだなって思った。しかも今回は兵器は全て3Dだから、TVアニメと違い戦闘シーンにバンクが一切ないし、そこも満足感の高さに繋がった感じがする。
特に運命はまぁ、凄い。シンがアニメ本編じゃメンタル面でずっと死んだままだったのも最近ようやく分かりましたが、それ等が無くなったらこんなにもシンと運命って強かったんだなって。描写的な問題もあってシンはデス種の悪評の一旦を担ってた部分もあったし、当時あれこれ言われまくったシンと運命、そして鈴村健一氏もようやく救われたんじゃなかろうか。しかもMeteorが流れる中での大暴れでしたからね。もうあれが流れながら無双してくれるなら細かぇことなんてどうでも良くなるレベルに映画として最高の瞬間過ぎた。
戦艦も今回の新規母艦であるミレニアムの暴れ具合、あまりに滅茶苦茶過ぎて笑うしか無かった。ノイマンの操縦のチートっぷりは最早語るに及ばずだが、マリューさん共々直接外を見ながら指揮と操縦とか、もうこれ戦艦なのかな?って。あの図体でラムアタック用のヒートホーンみたいなもんを前面に装備してるのも正気か?って思ったし。
でも、「戦術バジルール」って形でナタルも彼らの中に今もいるのは良かった。見直したら一番好きになったのが意外にもナタルだったんだよね。寄せ集め艦を保つ為に敢えて軍人らしい軍人として振る舞ってたのが分かったし、マリューさんと互いに足りない所を補える黄金コンビだったし、酒に弱かったり子どもに懐かれて困ったりする所もあって…最期まで含めて良いキャラだった。
あとはまぁ、アスランよね・・・というかメイリンもね。あの二人の関係の答えがヅラとエリザベスとか分かるか!メイリンがあそこまでハジケてるなんて誰も想像してなかったのよ。タイトルのフリーダムを一番体現しているのあの二人だよ間違いなく。
個人的には、サイが台詞無しとは言え再登場し、カズイもワンカットだけだが健在なのが分かったのも嬉しかったなぁ。しかもオーブ側のキャバリア―、サイとミリアリアとチャンドラという種時代のアークエンジェルのブリッジクルー3人で補助してるってのが最高過ぎた。
両澤脚本と映画らしいオールスター展開が噛み合った奇跡の劇場版
後半のオールスター無双、映画じゃないと出来ない展開だし、見たいものが溢れ出すレベルでお出しされて、各MSや兵器の活躍だけでなく個々のキャラもしっかり立てていたので、本当に20年近く待たされた人達みんなにとって救いになる作品だった。
そこに加えて4DXで観たから、冒頭からガンガン揺れるし発光するしで、戦闘がめちゃくちゃ激しくスピード感のあるSEEDには相性抜群だった。
・・・もし、両澤氏が今でも御存命だったり、当時から病状が重くなかったら、後半はもっと違う感じになっていただろう。それ所か、未だに公開されていなかったかもしれない。少なくとも、オルフェがあんな情けないフラれた男みたいな言動ばかりのラスボスには絶対なってなかったはず。
前半だけは遺稿を元にしているという形で両澤氏の手から脚本が離れたからこそ、シンプルに100倍返ししていく後半の爽快感が増していて、奇跡的にそこが噛み合っていたと思う。両澤脚本が好きな人には後半がイマイチって声もあるらしいが、デス種の続編の映画という意味では、個人的には100億万点上げちゃいたい出来の作品だった。