チャプター3から、核心へと近づくチャプター4の部分へ入る5巻の紹介。
哲志がかっこよく、直美が可愛い本。後半はゲームに全く存在しない展開で、この辺りから漫画版では独自の展開が更に増えていきます。
特典はゲーマーズととらのあなで色紙。地味に繭が特典に描いてあるのはこれだけだったと思います。
呪詛十九「歪んだ想い」
冒頭はチャプター4の一部、刻命と由香の登場するシーン。チャプター4での二人の出番はここだけ。原作では正確に推し量るのが困難な刻命の心情描写があるのが漫画版の良い所。また、原作では後にBSに声で出ただけの刻命の兄も登場。ある意味サプライズ。
次は場面変わって哲志側。気づいたら職員室にダイブしてたのですが、ここは哲志が飛ぶまでの描写が無く、未だにこの時の哲志の経緯は謎。そして七星と遭遇。連載当時はまだPSP版が発売前だった為、大体は予想が付いていましたがこのシーンでゲームに先んじて七星が言う「先生」が鬼碑忌なのが確定しました。
そして哲志は七星に飛ばされて、直美のいる次元へ。ここでチャプター3の部分は終了。
呪詛二十 「ありがとう さようなら」
ここから本格的にチャプター4の部分。PSP版発売前の最後の連載分でもある。
冒頭はどこかに監禁された良樹から。ここで死に掛けて頭に浮かぶのが、あゆみの次に哲志という辺りに良樹の2人への情の深さが窺えます。
そしてそのまま再び視点は哲志に。ほぼ原作の通り首を吊る直美を救出するわけですが、その直前の直美の一人芝居→声が止まる→突然ガタガタ動き出すという一連のシーンは哲志の反応含めてより詳細により不気味に。そこから直美を助けるまでは勢いを損なわず、それでいて哲志をかなり熱く描いています。
最後に世以子の霊が語りかけるシーンは人によってはウルッと来るかも。
呪詛二十一「鬼哭」
連載時はPSP版発売後最初の掲載分。冒頭から別次元の様子を把握し、哲志達を鬼碑忌のネタの種としか思っていない七星の歪んだ様が見て取れる。ここはゲームには無い漫画版だけのシーン。
また、ゲームには殆ど無かったチャプター4での直美視点の心情、夢という形での8Pもの回想と、ここで再び直美と世以子の友情をクローズアップしています。そこからメールを見て直美が絶叫するという、上げて落とす展開ですが。
呪詛二十二「枷鎖」 呪詛二十三「渇望」
この2話はほぼ漫画版独自の展開。
直美が寝ている間に由香を探しに行った哲志。世以子の携帯と、そこに書かれたメールを発見したので一旦保健室に戻ってみるも直美はいない。床に落ちていた携帯には、直美のことを責めていると取られても仕方の無い内容の世以子からのメールが・・・
最悪の事態が頭に浮かんだ哲志は、直美を探して再び女子トイレに。そこには夥しい数の幽霊達と、正気を失った直美の姿。
逃げても尚襲い掛かる幽霊達により哲志達は絶体絶命の危機に陥るも、七星が助けてくれて九死に一生を得る。2人が生きて帰る意志を新たにした頃、あゆみは良樹を探していたのだった・・・
ゲームだと哲志と直美が一緒の時に幽霊に襲われることは無いし、お互いに相手を叩くような喧嘩もしていない。あと哲志は主人公らしい活躍も実はゲームだと少ないし、哲志と直美の主人公とヒロインらしい絡みも、良樹とあゆみに比べて少ない。そして大量の幽霊に襲われるという絶望的な展開も実は存在しない。
そういった、ゲームに足りなかった部分を一気に詰め込んだのがこの2話。またゲーム版だと世以子のメールを直美に見せるのはチャプター5ですが、そのシーンをここにズラすことでこの構成を実現しています。
わずか24Pの中で上げて下げてを何度も繰り返す激しい展開と、ゲームではやらなかったことが沢山詰め込まれている話であり、帯の謳い文句の通り直美の暗く沈んだ心を、哲志と世以子の想いが救う話。漫画版屈指の良エピソードです。
5巻を読んで哲志&直美ペアが好きになった人もいるのではないでしょうか。
余談
カバー裏は制服を交換した哲志と直美。・・・まさかその後、哲志が実際に女装させられていたなんて誰が想像出来たでしょうか(汗