ちょっと間が空いたが、ガルパン劇場版の考察第二段をしてみたいと思います。今回は地味に描写も多かったウサギさんチームについて。
成長する素人枠
ウサギさんチームは、一から始めて成長していく素人という、割と創作では主人公が就くポジションに就いている。それはTV版だけでなく、そこから続く劇場版でも引き継いでいる。
最初の聖グロとの練習試合では逃げ出し、もう逃げないと再起を誓った。ある意味、ウサギさんチームの戦いは次のサンダース戦から始まったと言える。
が、サンダース戦ではこれといって活躍は出来ずにやられてしまった。しかし続くアンツィオ戦では澤ちゃんがその後の成長の片鱗を見せ、冷静な判断でセモヴェンテを倒している。
だがこれで調子に乗ってしまい、プラウダ戦では冷静さを失ってしまう。深追いし過ぎた結果75mm砲が破壊され、八九式の盾となり終わってしまった。
決勝の黒森峰戦では、TV版だけで見るとこれまでの鬱憤を晴らすかの如く、ご存知のように像とヤークトを倒して「重戦車キラー」となった。自分達から提案した仕事を真っ当したのだ。この時は戦略大作戦を視聴するなど、入念な準備をした結果が活きたと言える。
時系列的には見ての通り、最初に活躍したのはアンツィオ戦。サンダース戦からの彼女達は、失敗→成功→失敗→成功 と、一戦ごとに繰り返していたことになる。
人は失敗する生き物だからね、仕方ないね
そして劇場版。「重戦車キラー」という初心者がまずあり得ないような成功をした後では仕方がないことだが、再び彼女達は調子に乗ってしまいエキシビションで決勝戦と同じ手を使ってノンナのIS-2に挑むが、あっさりやられる。IS-2が防衛線に着くのを遅らせたのでそれでも全くの無意味ではないが、まだ成功→失敗のパターンからは抜け出せていない状態にあるわけだ。
そこから陸に上がり原始的サバイバル生活、再び映画の鑑賞等を経て大学選抜戦に挑んだわけだが・・・
方角が分からずに逃げたことで包囲されなかったウサギさんチームは、ミフネ作戦により味方の救出に成功する。これまでのパターンで行くと、観覧車での成功によってまた彼女達は調子に乗って、その後失敗するパターンかと思いきや・・・
人は成長する生き物でもある
実際はミフネ作戦の成功を経ても満足も慢心もせず、自分達に出来ることを更に模索していた。その結果、チャーフィーを二輌撃破する戦果を上げた。30秒にも満たないシーンではあるが、このシーンはよくよく考えてみるとウサギさんチームの成長の度合いがはっきりと分かる部分だと思う。
まず、チャーフィーを発見してもすぐには追っていない。アンツィオ戦では行進間射撃で無駄に時間を取ってしまったが、今回は最初から急がば回れを実行し、チャンスを待ち続けていた。
次に、アンツィオ戦では距離の調節の為、一度射撃してから着弾点を見て修正する手間を取っていたが、今回は白旗の前に撃っている様子がないことから、目視で正確に距離を測れているのが分かる。
そしてあの距離でも2撃続けて命中させている砲手の山郷ちゃんとあやちゃんの精度、次のチャーフィーを狙うまでにきっちり装填を完了している優季ちゃんと紗希ちゃんの装填速度。
ウサギさんチーム自体の錬度も十分上がっていると見て間違いない。
また、アンツィオ戦では二輌のうち一輌は逃がしたが、今回は二輌とも仕留めている。同じ失敗は繰り返していないのだ。
この後すぐセンチュリオンにやられるが、大きな成功を経ても慢心も満足もせず、自分達に出来る戦いの答えを見つけたと考えると、TV版からエキシビションまで続いていた、失敗と成功を交互に繰り返すループからもこの時脱却したと考えて良いのではないでしょうか。
まとめ
「私達に出来ることって何だろう?」と2回も自問自答するシーンがあること、陸で自活をしていたことも含めて、エキシビション以降の彼女達はひたすら自分達に出来ることを模索している。それは劇場版のテーマの一つである「自分達に出来る戦いをする」を最も体現したチームの一つであるということに他ならない。
結局の所、それは最初の成功である、アンツィオ戦での基本に則る戦い方、つまり基本に立ち戻ることにあったわけで、そしてこの頃の彼女達は既にそれが出来るだけの地力を付けていたと言えるのではないでしょうか。